無肥料でも野菜が育つ仕組みとは?緑肥で土が育つメカニズム

草生栽培のリンゴ園

こんにちは、信州あおぞら自然農園のやまさんです☺
今回は農園でも大切にしている「肥料に頼りすぎない土づくり」 について紹介してみたいと思います。
農業は本来は自然の力を借りながら行うものですが、肥料や資材に大きく依存しすぎると、価格の変動や供給不安のあおりを受けやすくなってしまいます。
なのでこれからの農業では外から入れるものをなるべく減らして畑の中で循環する力を育てることに着目して行くことが大切だと考えています。
当農園では、自然農法や自然栽培の考え方を参考にしながら不耕起だったり草生栽培だったりと、できるだけ自然の力を活かした栽培を行っています。
その中で、とても重要な役割を果たしているのが、今回の主役の「緑肥」です。

緑肥=土を育てるための植物

緑肥とは、収穫して食べるためではなく、土づくりのために育てる植物のことです。
たとえば、ライムギ、エンバク、ヘアリーベッチ、クローバーなどがよく使われます。
これらの植物を畑で育てた後、刈ったり砕いたりして土に還します。土に還された緑肥は、土の中の微生物や菌のエサになり、そして分解が進むことで、土の中に有機物や養分が増え、野菜が育ちやすい状態へと変化して行きます。

緑肥とはの説明

緑肥が土を良くする3つの作用

土の良い状態を考えるときには、物理性・生物性・化学性の3つの要素が大切だと言われます。
そして緑肥を活用することはこの3つすべてに関わってきます。

物理性:土の通気性・排水性・保水性が良くなる

緑肥が分解されて有機物が増えると、土がふかふかになりやすくなります。
土の粒がまとまり、空気や水が通りやすい構造になっていくため、野菜の根が伸びやすい環境づくりにつながります。
農業用語でいうと、団粒構造が作られて通気性・排水性・保水性が向上します。

緑肥によって腐植が増えて、土の物理性が良くなる

生物性:微生物や菌のすみか・エサになる

緑肥の植物体は、土の中の微生物や菌にとって大切なエサになります。
微生物が活発に働くことで、有機物の分解が進み、土の中の生き物の活動も豊かになっていきます。
自然農法では、この「土の中の生き物の働き」をとても大切にしています。

緑肥によって植物体が微生物や菌のエサ・すみかとなり、土の生物性が高まるイメージ

化学性:栄養素の循環を助ける

緑肥は、成長する過程で土の中の養分を吸い上げます。
そして、緑肥を土壌に還して分解されることで、炭素や窒素、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、さまざまな成分が再び土に戻っていきます。
特にマメ科の緑肥は、根粒菌の働きによって空気中の窒素を取り込む力があり、土づくりに活用されることがあります。
ただし、緑肥の効果は、植物の種類、育ち具合、土の状態、鋤き込むタイミングによって変わります。

緑肥を入れれば必ず肥料が不要になるというより、土壌内の循循が育ち、肥料に頼らない方向へ近づくと考えるのが良いと思います。

緑肥が分解され、炭素・窒素・ミネラルなどを土に戻すイメージ

不耕起栽培では「鋤き込まない」使い方もある

緑肥というと、育てた植物をトラクターなどで土に鋤き込む方法が一般的です。
しかし、不耕起栽培や自然農法では、必ずしも土に混ぜ込むとは限りません。
刈り取った草を畝の上に敷くことで、草マルチとして活用することもできます。
草マルチには、次のような効果があります。

  • 土の乾燥を防ぐ
  • 泥はねを防ぐ
  • 微生物や菌のエサになる
  • 雑草の発生を抑える助けになる

草マルチの利点

リンゴ園での草マルチ活用事例

草マルチの実例

つまり、緑肥は「土に混ぜる」だけでなく、土の上に置いてゆっくり分解させる使い方もできるということです。
これは、自然の森や草原に近い考え方かもしれません。
森では、落ち葉や枯れ草が地表に積もり、それを微生物や虫たちが少しずつ分解して、土が育っていきます。
畑でも、その仕組みに近づけることができるのが、草マルチや緑肥の面白いところです。

雑草は使い方によって敵にも味方にもなる

緑肥に使われる植物は、ライムギやエンバク、ヘアリーベッチなど、目的に合わせて選ばれることが多いです。
ただ、広い意味で考えれば、畑に自然に生えてくる草も、土づくりに活かすことができます。
もちろん、種を大量に落とす草、地下茎で広がる草、競争力の強い草は注意が必要です。
それでも、草をただの「敵」と見るのではなく、土を守り、微生物を育てる存在として活かすという視点を持つと、畑の見え方が少し変わってきます。
雑草は敵にもなりますが、使い方によっては味方にもなるのです😄

緑肥=畑の天然ソーラーパネル?

私が緑肥を見ていていつも感じるのは、緑肥は天然のソーラーパネルのような存在だということです。
植物は、太陽の光を受けて光合成を行い、空気中の二酸化炭素を取り込みながら、自分の体を作っていきます。
その植物体がやがて土に戻ることで、太陽のエネルギーが有機物として畑に蓄えられていきます。
何も植えていない裸の畑では、太陽の光はただ地面を照らすだけです。場合によっては、土が乾いたり、土ぼこりが舞ったり、雨で表土が流れたりすることもあります。
でも緑肥が生えていれば、その太陽のエネルギーを植物が受け止めてくれ、最終的には野菜のためのエネルギーになります。
(特に冬の間、何も作物を育てない時期でも耐寒性のある緑肥植物を育てておけば、畑を守りながら春の土づくりにつなげることができるので当農園では積極的にこの冬の緑肥栽培をやっています!)
このような仕組みを考えると、緑肥は畑に広がる天然のソーラーパネルのような存在だと思うのです。

緑肥による減肥効果のエビデンス

緑肥の効果は、昔ながらの経験だけでなく近年の研究でも確認されています。
たとえば雪印種苗の資料では、草丈30cm前後のライムギを鋤き込むことで、初夏どりレタスの窒素施用量を30〜50%程度削減できる結果が示されています。
参考:https://www.snowseed.co.jp/wp/wp-content/uploads/grass/201705_03-1.pdf
(これ以外にも長野県庁や自然農法センターの研究成果で減肥効果が確認されています)
もちろん、圃場や土の種類、緑肥の種類、鋤き込む量、分解の進み方、土壌の状態、栽培する作物によって減肥効果は変わります。
ですが、菌や微生物の働きが十分に育った圃場では完全無施肥でも作物の栽培が成り立つため、そのような環境を目指すだけで減肥効果は上がるはずです。

肥料を入れる農業から、土の循環を育てる農業へ

緑肥は、すぐに結果が出る魔法の技術ではありません。緑肥を育て、刈って土に還し、微生物や菌がそれを分解していくには時間がかかります。
土の循環は一度で完成するものではなく、季節を重ねながら少しずつ育っていくものだと感じています。
ですが、この循環が少しずつ整ってくると畑は外からの肥料だけに頼る場所ではなく、 自分で力を蓄えていく&整えていく畑になっていきます。
また、大切なのはいきなり肥料を無理やりゼロにすることではなく、土の力を育てながら、必要な分だけ使っていくバランスだと感じており(そして可能ならそれをゼロに近づけていくこと)、緑肥の活用はそのための最適な入口になるはずです。

まとめ

緑肥は、土を育てるために育てる植物です。
土の物理性を良くし、微生物の働きを助け、栄養素の循環にも関わります。
また、畑を裸のままにせず、太陽のエネルギーを植物の体として受け止め、土に還していくことができます。
これからの農業では、肥料や資材に頼るだけでなく、畑の中で自然の循環を育てていく考え方が、ますます大切になってくると思います。
信州あおぞら自然農園でも、緑肥や草マルチを活用しながら、これからも太陽の力を活かす農業を続けていきます♪

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